〜 オルトレポー・パヴェーゼの歴史 〜

 ミラノから車で南に向け約1時間、イタリアを横断する最大の川“フィウメ・ポー”(ポー川)を越えると、小高い丘の連なりが現れ、その斜面いっぱいに広がるブドウ畑が作り出す素晴らしい景色に心を奪われます。ここは、ミラネーゼの食卓に欠かせないワインの生産地であると同時に、ブドウ栽培とワイン生産に大変古い歴史と伝統を持つ地域、そして現在も変わらずその伝統と情熱が受け継がれ、未来への可能性をいっぱいに秘めた“オルトレポー・パヴェーゼ”と呼ばれる地域です。(オルトレポー・パヴェーゼは北イタリア・ロンバルディア州パヴィア県の南部に位置し、イタリア語で“ポー川を越えた地域”を意味します。以下、現地で親しまれている呼び名“オルトレポー”と記します。)

 大昔よりこの肥沃な地帯は農作物の栽培に大変恵まれ、人々にとって大事な食料を生み出す場として大切に守られ、文明の発展を遂げてきました。なだらかに続く丘、リグーリア海からの潮風を含んだ穏やかな気候、そしてこの地域の地質がブドウ栽培に多大な恵みをもたらした為に、ワイン造りは古くより盛んに行われ、素晴らしいワインが生み出されてきています。

オルトレポーでは、現在1種類のDOCGと、21種類ものDOCワインが生産されています。それぞれのワインはしっかりと個性を持ち、全体に香り・味わいの高さと力強さが特徴的です。クオリティーが高く、しかもリーズナブルな、人々に愛される要素を充分に備えた魅力あるワインと親しまれています。そしてまた、そのような素晴らしいワインを生み出すことが神によって運命付けられていたかのように、このオルトレポー全域の形はブドウの房状を形作っているのです。

 20世紀半ばに、フランスの専門家を始めとする世界のワイン関係者のリサーチによって「北緯45度線に位置する、偉大なワインを生み出す場」にこのオルトレポー地域もあたるとの新たな可能性と確信がもたらされてからは、世界中の注目を浴びると共に、それまで伝統的なブドウ栽培が中心的だったこの地域がより質の高い栽培・醸造法へ向け革新への道を歩みだしました。

  その代表的な例に、それまで白ワインに醸造されるのが一般的だったピノ・ネーロ種の赤ワインへの醸造が見出され、これには多くの生産者の情熱が注がれ、その結果、実に素晴らしいピノ・ネーロ種の赤ワインが次々と生み出されてきています。もともとオルトレポーは良質のピノ・ネーロ種のブドウ栽培が盛んな事が有名な地域でもあり、独自のスプマンテ生産にも古い歴史と伝統を持っています。同じロンバルディア州の、スプマンテで有名なフランチャコルタ地区においては、現在そのピノ・ネーロ種の大部分がオルトレポーのブドウを使用しているという程、良質なブドウは高評価され認められています。そしてオルトレポーはこれらの素晴らしいピノ・ネーロ種において世界第1,2位を競う生産量をも誇っているのです。また、歴史と実績のあるオルトレポーのピノ・ネーロ種より生み出されるスプマンテが、今年(2007年)新たにDOCGに認定された事で、今日、更なる話題を呼んでいます。


  では、なぜこの素晴らしいワイン生産を誇るオルトレポーが未だに世界的に知名度が低いのかというと、その大きな理由に、ミラノという大都市の近くに位置しミラネーゼ(ミラノ市民)のテーブルワインとして親しまれ、常にワインは申し分なく消費され続けていた為に商業的な発展が遅れたというのも一つの理由です。(現在も、週末にはミラネーゼやレストラン従事者を始めとする近隣の多くの人々がワインを求めて訪れます。)良質で価格の高くないオルトレポーのワインは一般市民にとって常に身近で、愛され続け、それがまたオルトレポーの生産者達の望む姿でもありました。ワインは世界的には有名になりませんでしたが、その反面、現在に至るまで伝統的なブドウ栽培・醸造法が守られ、伝統を重んじる家族経営のカンティーナが大事に受け継がれたという良さが残されました。

 現在、世代交代が行われ、多くのカンティーナを受け継ぐ若き生産者は、イタリア各地や世界各地へ出て、ワイン醸造法やワイン商法への見聞を広めています。情報網も発達し、ワインを造る側も求める側もワインに関する知識を深め、より革進的に歩みつつあります。
しかしそのような中、歴史を持つオルトレポー地域では現在も多くの生産者が伝統を重んじており、新しい機器や方法を取り入れながらも、それらの最新機器をあえて伝統栽培・醸造の為に活かそうとしていく傾向がみられます。また、昨今無くなりつつある古くから伝わる地元ブドウ品種を再現させていこうとする動きさえ活発化してきています。

 私達がオルトレポーの素晴らしさを知って携わり始めてから5年が経ちました。その間、現地スタッフがオルトレポーにて生活を共にし、情熱を持って良質のワインを手掛けるカンティーナとそのワインをご紹介させて頂いております。各カンティーナそれぞれに個性や素晴らしい点があり、ワインの個性もまた様々ですが、全てに共通して言えることは、自然を本当に愛し、大切に育てているという点です。オルトレポーを代表するのにふさわしい素晴らしい生産者として、そのカンティーナとワインの持ち味を知っていただく為に、カタログでは説明文を出来る限り詳細に作成致しました。

 また、各ワインの紹介欄にSO2(二酸化硫黄)の使用量という欄を設けましたが、SO2は酸化防止剤としてのみ一般的には知られていますが、醸造過程において必要不可欠なものであり、人体の安全を守る為にも(消毒的要素として)欠かせないものです。記載の数値は醸造過程においての全使用量を表していますが、醸造過程と抜栓時にそのほとんどは無くなり、また熟成期間を経ると共に無くなっていきます。イタリアの法律では赤ワインは160 mg/lt.以下、白ワインは210 mg/lt.以下と定められております。(ちなみにフランスワインの規定では白ワインが 300 mg/lt.以下、ソーテルヌは400mg/lt.以下です。)イタリアワインは全体として厳しい規定のもと低い値を守っていますが、ご紹介のオルトレポーのカンティーナはどこも規定を下回ると同時に、大変慎重に扱っております。

 そして、澱に関してもいくつかのワイナリーに関しては(注)をつけさせて頂きましたが、ワイン本来の持ち味を損なわないように生産者のこだわりによって、醸造過程においてフィルターを使用しない場合があります。澱は自然のものですので人体に問題はありませんが、澱の部分は残してワインをお味わい下さい。

 今回HPを作成するにあたりオルトレポーのカンティーナの皆様方に多大な協力を頂きました。是非、美味しさという基準のみだけでなくワインの個性、伝統、歴史と共に、そのワインを手掛けるそれぞれの造り手の方々にも親しんでもらえたら光栄です。オルトレポーは新たな発見や期待に満ち溢れた場であり、今後もそこに生きる生産者とワインと共に、その姿をご紹介していきたいと思います。ご意見やご質問がありましたら是非お問い合わせ下さい。


*毎年4月に開かれるイタリア最大のワイン・フェア「VINITALY:ヴィーニイタリー」では、オルトレポーの大部分のカンティーナは、入り口上2階のロンバルディア州のスタンドで出展しております。(イノルトレ(INOLTRE)などのグループで出展している場合もあります。)是非お立ち寄り下さい。




オルトレポーへのクリオジタ (CURIOSITA’:好奇心・詮索・見どころ)

オルトレポー全体の面積:1070平方キロメートル
ブドウ栽培面積:15,000ヘクタール
(うちDOC以上ワインにあたるブドウ栽培面積:12,000ヘクタール)
ワイン生産量:年間5500万リットル(イタリア国内第3位)
オルトレポー内でのブドウ生産量:1位ボナルダ種、2位バルベーラ種、3位ピノ・ネーロ種
カンティーナ数:2500
ブドウ栽培の歴史:3000年前のブドウの木の化石がカステッジョにて発見されました。
スプマンテの歴史:1872年、ピノ・ネーロ種のメトド・クラッシコが初生産されました。
岩盤の歴史:一番新しいものが100万年、一番古いものが4300万年経ています。
最高峰の山:1724メートルのモンテ・レージマ。
 
DOCG
OLTREPO’ METODO CLASSICO メトド・クラッシコ (2007年収穫モノより)

DOC
白ワイン13種
OLTREPO’ SPUMANTEスプマンテ(ビアンコ/ロザート)
OLTREPO’ CORTESE コルテーゼ
OLTREPO’ CHARDONNAY シャルドネ
OLTREPO’ RIESLING RENANOリーズリング・レナーノ
OLTREPO’ RIESLING ITALICOリーズリング・イタリコ
OLTREPO’ SAUVIGNONソーヴィニョン
OLTREPO’ MALVASIA マルヴァジア
OLTREPO’ MOSCATO モスカート
OLTREPO’ MOSCATO LIQUOROSOモスカート・リクオローゾ・ドルチェ/セッコ
OLTREPO’ MOSCATO PASSITOモスカート・パッシート
OLTREPO’ PINOT GRIGIOピノ・グリージョ
OLTREPO’ PINOT NERO VINIFICATO IN BIANCOピノ・ネーロ(ビアンコ)
OLTREPO’ ROSATOロザート

赤ワイン8種
OLTREPO’ ROSSOオルトレポー ロッソ
OLTREPO’ ROSSO RISERVAオルトレポー ロッソ リゼルヴァ
OLTREPO’ BARBERA バルベーラ
OLTREPO’ BONARDAボナルダ
OLTREPO’ BUTTAFUOCO ブッタフォーコ
OLTREPO’ PINOT NERO VINIFICATO IN ROSSOピノ・ネーロ (ロッソ)
OLTREPO’ SANGUE DI GIUDAサングエ・ディ・ジューダ
OLTREPO’ CABERNET SAUVIGNONカベルネ・ソーヴィニョン